2016年6月15日水曜日

【ゼンヒラノ演技ノート】第15話- その1-

*第15話ーその1ー*
『俳優の表現力について』


以前にも書いたと思うけど演技術には二種類あって、役に起きたことを声と身体を使って説明する方法と、役に起こった事を体験して即、声と体で表現する方法がある。

体験の演技には固有の表現の大きな問題がある。

自分では情感が溢れ、涙が溢れるほど良い演技をしたと思って舞台を降りて見ると、仲間や観客は冷やかだったりすることがある。一体、何が起きたのだろう?

それは、感情が体や声を通して表現されなかったのだ。我々はこの表現体である体を楽器と呼ぶ。

ピアノで言えば、誰がどのようなタッチで鍵盤を叩いても(たとえあなたが素人でも)あなたの押したエネルギーの強弱とタッチのスピードに応えて正確な音を出す。そのように調律されているからである。人間とゆう楽器は感じたものが、あるがままに表現されるように調律されていない。

子供は別として、社会生活に適応する為に感情を抑えたり、オーバーに表現したり感じてもいないのに、感じた振りをする。こんな事を言ったらまずいなと思った瞬間、自動的にブレーキがかかる。

で、俳優の表現の訓練は、どんな感情もブレーキをかけないであるがままに表現できるよう調律することだ。
((ブレーキをかける訓練は不必要、長い社会生活で訓練されたお陰で、かけたい時にはいつでも必要に応じてかけられる。)

子供のもつ感受性を含めて俳優の訓練は、子供になる訓練だと言われる。

子供は今、笑ってたと思えば次の瞬間泣き出したり、駆け出したりと、衝動と表現の間に時間差がない。

トップクラスのある俳優達は、何を考え、何を感じているか即、伝わってくる。

天性の素質もあるだろうが、彼らに共通していることは、リラックスが良い。つまり、感情があるがままに表現されるよう調律されている。
リラックスが良いと、心に起きた衝動が、からだのいかなる部分(緊張)にも邪魔されないで、眼に現れる。

よって、俳優の表現力の訓練は、体に住みついているあらゆる緊張を追い出して感情が眼に、表情に、そして声に表れるようにすることだ。

リラックスの訓練は、まず、自分の体のどの部分に緊張があるか見つける。
(僕の場合永年の経験で、その生徒の前に立つと彼の緊張がぼくの体に伝わってきて,彼の体のどの部分が緊張しているかを教えてくれる。)
その部分を大きくユックリと緩まるように動かして、リラックスさせ、緩んだか、どうかチェックする。

特別の才能も見られないが、なかなか良い演技をしているなと見える時は、リラックスが良いことが多い。

ZEN

5,6,7章 リラックスの項を参照のこと。

☆河口湖スタジオにおいて
ゼン・ヒラノによるプライベートレッスンを行います。
詳しくは⇓⇓⇓
http://zenhirano-acting.blogspot.jp/2016_05_01_archive.html

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